カルテ11 本日のカウンセラーは舞台などで活躍中の山本涼華(仮名)さんです。
1980年7月、高知県某市にて出生。市内の中学を経て東京都品の高校を卒業、大学に入学するも女優の仕事に専念するため中退する。
悩みごと
「いつも、気が付いていることがあります。1人きりでいると、誰かが迎えに来てくれるような、このような思いになることがちょくちょくあります。これは、人恋しいだけの事なのでしょうか」
お尋ね2問
〇いつもよく見る夢はどのようなものでしょう。
「横がとっても長いベッドです」
〇どこへ行く時も必ず持っていくものがありますか。
「筆記具とノートです」
耐えきれない
・(カウンセラー)先ほどの夢のことについて、さらにもっと詳しく教えていただけませんか。
「(相談者)いつも真っ白いベッドの中で寝ているところがでてきます。そして寝返った瞬間に横を見ると、とっても長いんです。いったいどこまで続いているんだろうと、いつも思っています。」
「もうひとつは、突然、目の前に大きな岩が現れたかと思うと、それが、いきなり私をめがけて襲い掛かってきます。これは本当に恐ろしいほど怖いです。」
記憶
・(カウンセラー)まず白いベッドのことになりますが、遠い過去の記憶からきています。
場所は19世紀ごろのフランスです。この時代は戦争が多く、すべての人が巻き込まれていました。毎日のようにでる負傷者。あなたは町の教会でこの方々に手当てをする担当になっていました。
運ばれてくる人数が人数だけに、所狭しと並んだベッドのようなものは、礼拝室だけにとどまらず事務所の奥の方までつづいていたのです。
これだけの人数ですので、うめき声やら叫び声やら途絶えることはなく、生き途絶える者も増えていくばかりです。この中であなたは、見るに堪えない惨劇に耐えきれるだけの精神力をもっておらず、発狂寸前になるような毎日を繰り返していました。
この過去の記憶が今世のあなたに影響を及ぼしているのです。
癖
・(カウンセラー)先ほどいつも必ず持っていくものがあるといっておられました。もっと詳しく教えていただけませんか。
「(相談者)朝起きると、まず筆記用具の準備に取り掛かります。これが一日の始まりです。この習慣は中学生のころからだったと思います。
友人らとの会食のときなども手帳とペンは必ずテーブルの上に置いていて、会話の重要と思える箇所などを書き取り、この情報が必要と思える友人に郵送しています」
過去
・(カウンセラー)これも遠い過去の記憶が働いています。こちらも前世と深い関係がありそうです。
・18世紀頃の地中海に面した国です。ここの小さな教会の聖堂の中で伝統衣装に身をつつんだ1人の少女が祈りをささげています。この方があなたになります。幼い頃から母親と一緒に教会で祈りを捧げたり讃美歌を歌ったりするのが日課になっていました。
そして聖歌隊に入隊する年齢には焼き物や絵などを作っていました。この数々の作品は町民の方々に善意として配られていたのです。
恋のはじまり
15歳ときにはリーダー的存在となり、周りをけん引するまでに成長していました。そんなある日のことです。教会で復活祭の準備をしていたときでした。
見知らぬ一人の男性が突然講堂に現れ祈りを捧げはじめたのです。
ほどなくして彼は挨拶をかわしにやってきました。身なりも整った好青年で礼儀も規律ただしくその内容もしっかりしていました。
それに彼の趣味があなたと同じでしたので、当然のごとく会話もはずんでいきます。 目先の仕事も忘れるほど、あっという間に時は過ぎていきます。
彼も故郷に帰らなければなりませんでした。そこでお互いの連絡先を交換しあいます。
囚われの身
ここから1年ほどが経過したころでした。彼が政治活動家であることを知ってしまいます。当初はかなりショックでしたが交際が長く続くにつれ、この活動に理解を示すようになっていきます。そして、気が付けば自らもこの活動に参加するようになっていました。年の暮れも押し迫った頃でした。
政府がこの活動家らを封じ込めるための組織を立ち上げたとの情報が入ってきます。
その2日後の朝のことでした。けたたましく玄関の扉を叩く音が響きわたります。開けると、そこには軍用銃をかまえた男が5人。
ここからは彼らの言われるままです。毎日のように続けられる拷問はまったく容赦なくつづいていきました。
身も心もボロボロになったころです。看守が彼女に無罪放免を告げます。理由もなにも分からないまま拘置所を後にしました。
待ち人
どこにも帰るあてがありません。教会も受け入れてくれるかどうかも不安でした。でも向かった先はやはり教会です。扉の前に立ち、その後の結果を想像しながら開けると、そこには2人のシスターがいました。
最初はやつれきったその姿が誰だか分からなかったようですが、すぐさま私の元に駆け寄り優しく抱きしめてくれたのです。
流れだす涙とともに感謝の思いを伝えていました。彼の情報を尋ねてみると、やはり思ったとおり知りませんでした。
牢獄にまだいるのか。故郷にもどっているのか。
2人の連絡拠点でもあったこの教会で待つしかありません。ここから2年の月日がながれます。毎週のように彼の実家へ手紙を出しつづけたのですが、連絡は返ってきません。
そんなときです。心の奥底で、今こうして生きていられるのは、彼が自らの身を犠牲にして救ってくれたからでは。
このような思いが浮かんできたのです。でもこれは憶測でしかありません。
ここからさらに1年の月日がながれます。手紙も毎週のようにだしつづけましたが、返事は返ってきませんでした。
ここで”彼は絶対迎えに来てくれる”この思いが消えて無くなるのです。」
蘇る記憶
この前世の話を聞き終えたあとでした。なにかを思いだしたかのような仕草をしだします。いったい何を感じていたのでしょう。
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